太陽光発電所ピカリン 事故報告
- 発電所名 太陽光発電所ピカリン
- 事故発生 1998年2月11日、3月の二回
- 原 因 インバータ収納ケースからの雨漏りによるインバータ基盤の腐食。
- 対応策 新しいインバータ収納箱の製作と代替インバータに交換。
外置きインバータの場合は、工事のし易い利点がありますが、水漏れ、通気などの対策の必要があります。インバータに外置きタイプがあれば、今回のようなトラブルを避けることができました。屋内タイプの新しいインバータは、放熱部の上部開口がさらに広がっているので、外置きには十分気を付ける必要がありそうです。外形寸法の変更(寸法の増加)により、収納箱が合わないことも問題があります。製造メーカーは、この点については注意すべきと思います。
- 状 況 2月11日朝 晴天なのに発電しないので、インバータを見ると、入力電圧不足の異常の表示、漏電遮蔽器が作動していました。再度、全スイッチをoffにしてブレーカーをon、インバータをon。インバータは待機のまま、トランスからは激しい音がしました。パネルからの入力電圧を測定すると、250Vで太陽電池そのものには問題なし。安全のためスイッチ類を遮断して、施行業者のエコテックに連絡。
- 2月23日 施行業者のエコテックに修理の予定通知到着。
- 3月5日 修理。修理内容は、インバータとトランスの取り外し、新しいインバータを設置。モニターの接続が変更されているために、未確認。インバータ等の設置ボックスの防水関係の大きな変更をしていただきました。たいへん感謝、感激。
- 3月6日 発電再開確認。モニターとの接続が、不良判明。同日に、エコテックにモニター接続の方法の情報提供を依頼。
- 3月17日 エコテックからモニターとの接続方法を知らせてもらい、モニター修理完了。
またまたトラブル発生
- 4月3日 更新したばかりのインバータの出力低下を確認。快晴なのに1日で3kWhしか売電せず。インバータのパネルなどには異常の表示なし。一方、モニターはフル出力の表示の不調。3月17日の時点では、モニターも太陽光に追従していることを確認、3月の売電も191kWhです。どうも、最近の不調のようです。
エコテックに再度連絡。早速、システム購入先の昭和シェルからモニターの発送の連絡有り。
まず、モニターを交換して、インバータの様子を確認してから、再検討する予定。
- 4月4日 インバータの不調によるトラブルが心配のため、午後2時に運転停止。
- 4月6日 モニター到着。交換したが、待機表示は作動したが、運転にはいると直ぐに降る表示。
- 4月7日 モニター交換結果を報告。昭和シェルより4月10日にインバータ交換の連絡あり。すばやい対応に感謝。
- 4月10日 インバータの大きさが、ケースに合わず、再度代替品を送付するとのこと。前回、今回のインバータの不調は、インバータの収納ケースの隙間から水が入って、腐食していたのが原因でした。内部のプリント基板をみると白く腐食していました。インバータ内部に水滴もありました。全国のみなさん、インバータ外置きの方は、防水対策をお勧めします。結露防止の通気も大切です。
- ところが、同等品がないので、ケースに合わないタイプの代替品にならざるを得ないことが判明。幅580のタイプに合わせて、新しい収納箱を製作することを決定。
- 4月29日 新しい収納箱を製作。
- 5月1日 代替用のインバータ到着。
- 5月2日 新しいインバータと収納箱完成。快調に運転開始。自分で設置、系統接続、調整をしてみました。よい勉強になりました(ゴールデンウィークの暇つぶしにもなりました)。お陰様で、商売ができそうです。
- 修理経費 新しい収納箱についてはピカリンが費用負担、インバータについては業者負担で合意。
以上にて、すべて解決、教訓を活かそう
私としては、エコテック、昭和シェルの方の対応も十分に納得できるものでした。太陽光発電所のハードについて、自分で収納箱の製作や接続調整で、よい経験と勉強をしました。以下の点は、事故対策の原則になると思います。
- まず、発電所の安全を確保すること
- 事実経過と原因を究明すること
- 原因究明に従い解決してから、費用負担や責任について合意を形成すること
- 関係者(発電所、業者ならびにメーカー)は、互いに早期解決のための誠意と努力をすること
全国の発電所・業者のみなさん、事故があったら、ぜひ今回の経緯を教訓にしてください。
太陽光発電のトラブル対策の体制が、導入から年が経つに連れて各発電所で増えてくると思います。以下のような課題があると思います。
- 製造側、施行業者、発電所の連携体制
漏電、火災などの危険な場合もあります。状況により、運転等の指示、スイッチの開閉などの指示なども機敏な対応が必要です。修理までの期間も短くしたいものです。
- 修理・維持経費の補助。
「導入はいいけど、修理の経費がたいへん」ということでは、モニターがますます減ってくるのではないでしょうか。修理がたいへんで、太陽光設備が放ったらかしという状況も、社会的財産の効率的運用上好ましくありません。
- 事故原因の究明と普及
安全で快適な太陽光発電の発展のためには、事故などの教訓を全関係者のものにしていくことが大切です。より優れた製品開発、設計・工事、運転・維持管理の水準を上げていくことは、太陽光発電経費の削減につながります。