教育研究評議会報告(平成18年1月13日)     評議員 森田 龍義

 1月13日開催の臨時評議会の内容をお知らせします。この日の評議会の主要な議
事は、報告事項は「理事の選任について」、審議事項は「教育研究評議会構成員(副
学長の選任を含む)について」でした。

報告事項 (3)理事の選任について

 学長から6名の現理事を2月以降も理事として選任する旨の報告があった。その説
明は以下のようなものであった。
(1)グランドデザインに基づいて法人化の移行作業をやって外部評価をうけたが、
評価委員会から高い評価をうけ、概算要求にあたっても文科省から多大な支援をうけ
た。これは、全学が一体となって取組んだ成果であり、とりわけ理事、副学長の役割
が重要であった。
(2)学長選挙においては、批判票が多数あったが、各種の改革に対する批判ではな
く、学内での決定プロセスの説明が不十分であったためであると受け止めている。こ
れからは、学内コンセンサスに配慮してゆく。理事の方々は、これまで以上に学内の
意見をきき次期2年間の運営にあったていただきたい。事業内容の進捗状況は、きちっ
と報告してゆく。
(3)以上の理由から、理事6名に引き続き担当を依頼した。

それに対する議論:

[山下実務法学研究科長]:確認だが、理事の任命権は学長にあるのか。
[学長]:法令では学長にある。
[山下研究科長]:それでは、ここで何をいっても変わらないことを承知で意見を言
いたい。今回の学長選考結果について納得していない。昨年末の評議会の議論には決
着がついていない。理事は学長と一体となるものであるから、いま理事の選任をする
のは果たして適当か。
[A評議員]:学長選考の問題はおさまっていない。人文社会・教育科学系の学系教
授会議では、次の決議をあげた。「長谷川彰氏は、第二次意向投票の結果を受け容れ、
学長への就任を辞退すべきである」というものである。 理事はいま選任する必要は
ない。
[B評議員]:「学長候補決定受諾の撤回を求めるアピール」署名がすすみ、教員有
権者の1/3にあたる教員が署名している。学長選考について決着がついていない時に、
理事を選任するのは火に油を注ぐようなものだ。報告事項ではあるが、理事の選任を
学部に持ち帰ったら何がおこるかわからない。学長選考の問題についての疑義につい
てはっきりさせてから、理事の選任をされたらどうか。
[学長]:署名のことは知っている。今朝の新聞では、35%ということであった。批
判が出ていることはわかっている。
[C学部長]:新聞に農学部で署名が過半数を越えたとあった。農学部では大学執行
部への批判が強い。肉声で構成員に説明して了解を求めることが必要と考える。
[D学部長]:前にも発言したように、病院長を理事加えることはできないのか。
[学長]:理事は6人と限られている。病院長は運営委員会や、経営協議会に加わっ
ているので、実質的には問題ない。
[E評議員]:学長の説明のなかに、理事と副学長の役割が重要だったとあったが、
部局長を含めての体制につて説明がなかった。手落ちではないか。
[学長]:部局長を含めて重要な役割があった。大学には様々な意見、考え方があっ
てよい。法人化がはじまった現状で批判的意見が多いことは自然であると思っている。
この4年間決して平坦な道ではなかった。ここまでこれたことに全学的な諸会議に感
謝する。意向投票の批判票については、改革そのものに対する批判ではなく、構成員
との間にギャップがあったためと考えている。改革プロセスにおいて、学内コンセン
サスに十分配慮していきたい。
[F学部長]:気になることがある。評価委員会の評価が高かったと言われた。外部
評価といっても学科レベル、学部レベル、全学レベルとあり、大きな単位となるほど
教員の意識は薄れ、他人事のようになっている。教員の意識の問題もあるが、教育と
研究の現場で予算などについてどのような不満があるか、執行部はきちっと受け止め
る必要がある。そのようなことを念頭に置いて今後の2年間をやっていただきたい。
[G学部長]:工学部でも学長選考について疑問がだされている。学長が説明する必
要がある。時間がたてばおさまるものかどうかわからない。ぜひ学長が直接説明をし
てほしい。
[学長]:必要であれば各教授会に出向く。
[山下研究科長]:将来のことに話がいっているが、私はこれから反省しろと言って
いるのではない。学長選考問題はまだ終っていない。現段階で学長が2月1日に着任
することに問題があると思っている。再任されることに疑義がある段階で、将来のこ
とを問題にすべきではない。選挙の結果を学長がどう思うのか、どう解釈するのかと
いうことを尋ねているのではない。意向投票結果に従うのか従わないのかをお尋ねし
ているが、お答えをいただいていない。今、理事を選任しなくても、大学の運営がス
トップすることはない。次期理事が決まるまでは、現理事が事務取扱いとして仕事を
続けることで法令上問題はない。今回のように、学内の意思と学長選考会議の意思が
ことなる場合、どちらをとるのか。
[学長]:私としては、学長選考会議の決定に従う。大学の意向と、経営協議会など
外部との意向が反することなど想像できない。新潟大学のために文科省と一緒になっ
てやって行く。
[A評議員]:長谷川学長の続投は学内で認められていない。学長にはリーダーシッ
プが必要だか、その根拠は選挙で多数に支持されることによるのであり、学長が指名
した理事の権威もそれに基づく。正統性のない状況で、二年間やっていけないのでは
ないか。
[山下研究科長]:先ほどの学長の回答で、「想像できない」と言ったが、学長の頭
のなかで「経営協議会」や「文科省」があるのであろうが、前回私は例えでいったの
であって、「経営協議会」や「文科省」が悪いといっているわけではない。学内世論
とずれた意見が外部からあった場合、学内世論を無視するかどうかを聞きたいのであ
る。
[E評議員]:議論の性格についてききたい。この議論の法的な根拠はなんですか。
[山下研究科長]:評議会に学長選考を議論する権限は法的にはない。したがって、
学長選考会議の結論は違法であると考えているが、ここでは、第二次意向投票の有権
者として、学長にお尋ねしているのだ。
[学長]:たくさんの意見、ありがとうございました。私としては法人法の主旨にのっ
とり、選考会議の決定に従いたいと思う。理事の選任に理解を求めたい。

審議事項
(1)教育研究評議会構成員(副学長の選任を含む)について
 学長より2月以降の評議会の構成員(理事、副学長を含む)の名簿が示され、その
説明があった。

[H評議員]:これはいつの時点での名簿か。名簿の書き方がおかしい。
[山下研究科長]:学長の選考について疑問があるので、これには反対である。
[B評議員]:審議事項として発言する。学長選考については、疑義がひろがってい
る。理学部教授会でもほぼ半数の教員がおかしいといっている。1月の自然科学系教
授会議でもこの問題を議論した。多数の教授会議のメンバーがおかしいといっている
のに、2月以降の評議会構成員を決定して、持ち帰ると混乱がおこる。このような現
状で、理事、副学長を含めた評議会名簿の決定には反対である。
[A評議員]:私も反対します。
[I評議員]:賛否を問われているようなので、反対であることを明言したい。
[鈴木学系長]:自分の名前のところがまちがっている。私も反対である。
[K研究科長]:どうしても今日やらないといけないのか。
[L学部長]:書類の不備もあるし次回にしてはどうか。

[学長]: (菅原、深澤の両理事と相談。数分してもなかなか結論がでない。)
[K研究科長]:ここで決めてはいけない。現場は混乱する。部局長は議長をやらね
ばならないので、議論が大変になる。ある程度のコンセンサスを学長がとってもらわ
ないといけない。
[学長]:名簿もつくりなおさなければならないし、次回に再提案する。

(2)その他

[山下研究科長]:12月の評議会での私の発言では、言葉は選んだつもりではありま
すが、無礼な表現をしたことについてお詫びします。しかしながら、その時の私の質
問に対して学長はまだお答えになっていない。12月6日の決定について私は前回「違
法ではないが、不当である」と述べたが、これは違法である。法律の専門家で検討し
て14条1項違反であるという結論に達している。不当であることは間違いない。この
違法、不当な決定を受諾したことを撤回する意思がないか伺いたい。
[学長]:撤回の意思はない。決定は違法と思わない。なぜ違法なのか。
[山下研究科長]:ここで申し上げてもしかたがないので、機会のあるときに説明し
たい。法律の専門家で検討して14条1項違反であるという結論に達している。最後は
学長の大学の伝統とか良識を守るという信念にお願いするしかない。
[学長]:選考会議の決定に従う。
[山下研究科長]: わかりました。周りからは、おまえは学長を信用しすぎて甘い
とも言われている。12月20日の研究科の会議で研究科長の辞任を表明し、認められた。
実務法学研究科長の職を解いて欲しい。評議員も辞することになるのでこの場で辞任
願いを読みあげる。
(1月31日附辞任願い):「長谷川彰学長は大学教員の過半数による第二次意向投票
の結果を無視するという、民主主義のルールに反し、しかも伝統的行動からはずれた
場合、必須であるはずのこのような行動に対する説明がなされていない12月6日の選
考会議の結果を受け入れようとしている。また、12月16日の評議会において、今後も
大学の多数の明確に示された意思に従わない場合がありうるかという私の質問に対し、
明確に否定されなかった。学長選考会議の決定を受け入れ、希有なケースではあれ、
今回のことでも見られるように明確に示された大学の大多数の意向に従うという態度
を示されない学長のもとでは、責任ある運営に参加することはできない。2005年12
月20日大学院実務法学研究科の承認を得たので、辞任させていただきたい。」
[学長]:残念である。私としては、今後も引き続きやって欲しい。

[A評議員]:人文社会・教育科学系の学系教授会議では、鈴木学系長の説明をうけ、
学系長の辞任を受け入れた。(学長選考会議で鈴木候補の辞退申請の申し入れとその
取り扱いの疑義について説明)。鈴木候補の辞退を認めなかったことは、2/3で決す
る選考会議の結果に重要な影響があり、直接関係した菅原理事だけでなく、役員会、
学長の責任が問題になる。
[板東理事]:鈴木学系長が何も言わないのに、Aさんが発言するのは奇妙だ。誤解
がある。選考会議は、辞退を認めることがあることを決めている。締め切りの2時間
前に辞退の意思が伝えられ時間がなかった。無理無理調書をだしてもらったわけでは
ない。誤認のかたまりである。
[A評議員]:学系教授会議の公的な場での議論を報告したのである。
[鈴木学系長]:選考会議には議事録がない。板東理事が「言ったはず」といっても
記録もないので水掛け論でむなしい。だからだまっていた。
[板東理事]:疑問点は選考会議でやることになっていた。
[E評議員(選考会議委員)]:議事要旨はあった。
[L学部長]:候補者が辞退申請したが、選考委員会に連絡する時間がなかったとい
うことか。
[板東理事]:調書は出たのだ。
[鈴木学系長]:第一次は提出したが、第二次には提出しなかった。
[菅原理事]:11月15日の学長選考会議で鈴木学系長が第二次意向投票の候補になっ
たことはお知らせした。公示の前日までに調書がでてこなかったので連絡したら、そ
のとき辞退の意思表示をされたと言う経過であった。