学長候補者決定受諾の撤回を求めるアピール

 平成17年12月6日に開催された第11回国立大学法人新潟大学学長選考会議に おいて、長谷川彰氏が次期学長候補者として決定され、同氏はその決定を受諾 されました。この選考会議における決定は、第二次意向投票の結果を覆すものです。私 達は、第二次意向投票でどの候補者を支持したかということには関係なく、今 回の選考会議の決定に大きな疑問を持ちます。学長選考規程上は今回の決定に手続的 な問題はないのでしょうが、新潟大学の将来を考えた場合、このような決定が行われ ることは、大学のあり方として大きな問題を含むと考えます。候補者ともなりうる学 長が直接任命する委員からなる選考会議の制度が、今後混乱なく機能するためには、 これまで培われてきた大学の良識・大学人としてのモラルが厳しく維持されねばなりません。
 現行規程を導入する過程においても、実質的には従来の方式を大きく変えるものではなく、 大学内の意思を尊重する旨が、評議会等において述べられました。従来の部局長選考 においても学長選考においても、規程上はともかく、実質的 には研究・教育に携わる有権者による投票結果が尊重されてきました。法人化後も、 研究・教育が大学の任務の中心であることには変わりありません。法人化後は、経営 という新たな視点がそれに加わりましたが、各投票権者は、その点も考慮したうえで 投票したのであり、現行規程導入時の説明もそれを前提としたものであった筈です。 意向投票制度の運用については、今後改善の余地があるとしても、学内の意向を示す 制度として不可欠のものです。今回の決定は、この制度の空洞化を招くものです。
 今回の決定において、学内より推薦された委員の意見が大きな役割を果た したことは、選考会議の構成からいって容易に推測できます。学内委員が規程 導入過程での前言を翻し、学内の意向を無視した決定を行ったことは、新潟大学の将 来に大きな禍根を残すものです。
 長谷川彰氏におかれましては、今回の決定の受諾をすみやかに撤回される ことを求めます。                      2005年12月12日
                         新潟大学教員有志